新垣家住宅は、那覇市壺屋に所在する陶工の住宅で、1974(昭和49)年まで陶業を営んでいました。約400坪の屋敷内には、赤瓦を連ねた主屋、作業場、離れ、登窯(のぼりがま)や石造の「フール」(豚小屋兼便所)、石垣などが残っています。中心となる主屋は明治中期までに建築されたと考えられます。新垣家は琉球王国時代、1682(康熙21)年の壺屋統合の頃に読谷から移住してきたと伝えられており、代々親雲上(ペーチン)の称号を有し、壺屋陶業での中心的役割を果たしてきたと考えられています。
屋敷は南向きで、通りに面する南面と西面を石垣で築いています。門口に立つと、東側には離れ、西側には屋根の上にチブルシーサー(頭部だけのシーサー)を据え付けた作業場があります。入口からなだらかな石敷きを上ると正面に生垣の「ヒンプン」(塀)が設けられています。「ヒンプン」の奥には主屋があり、その東側に登窯、西側に「フール」を配しています。主屋は、「ウフヤ」と「トングワ」が一体となった造りです。「ウフヤ」は6畳の一番座に床、8畳の二番座に仏壇を構え、裏座が設けられています。台所の「トングワ」には、煉瓦積の竈が設けられています。作業場は作陶のための施設で、離れももとは作業場として使われていました。登窯は通称「東の窯」(アガリヌカマ)と呼ばれ、全長約23m、幅約4mで、最上部にある排煙口を除く窯全体が赤瓦の屋根で覆われています。新垣家住宅は、伝統的な壺屋陶工の住宅形式を知る上で唯一残された貴重な建造物であることから、平成14(2002)年12月26日に国指定重要文化財として指定されています。
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作業場外観 | 新垣家住宅(東側) |
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離れ内部(現展示室) | 登窯(アガリヌカマ) |
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