亜熱帯の命の響き KAYOKO BIRD EXHIBITION IN OKINAWA
指で描く。パステルを幾重にも幾重にも擦り込んで描く。深く、深く、そこはかとなく深い影と光の音が響くまで。20数年かけた今、ようやく聞こえてきたような気がする。長年ブラックキャンバスに描いた。砂漠の画家ジョージア・オキーフ、亜熱帯の島で果てた田中一村に惹かれ描いてきた。今また、新たな手法に合うキャンバスを作る。その準備は静かな儀式のよう。不死身とも呼べる亜熱帯植物の命を表現するにはパステルがよく似合う。水も油も膠も何も媒体としない。岩石を粉砕した微粒子の発色に魅かれている。時を経ても変色することはない、永遠のパステルを刷り込む時、炎に託す陶工達の心を思う。
25年の在米生活で柳宗悦率いた民藝運動に目覚め、東京駒場の日本民藝館へは足繁く通ったもの。壺屋との出会いも20数年前、金城次郎の湯呑は私の宝物。この揺るぎない存在感。沖縄の歴史と風土が育んだ宝物。1階常設展示室併設展示は新しい試みのようではあるが暮らしに寄り添う展示方法の模索でもある。工芸と美術の距離がもっと縮まればいいなと思っている。1階の併設展示と3階の個展を合わせてご覧いただきたい。
そして、その音が響いていれば嬉しい。
2017年夏 バード加代子
■日 時:8月22日(火)〜9月3日(日) 午前10時〜午後6時(入館は午後5時半まで)
■会 場:那覇市立壺屋焼物博物館3階 企画展示室・1階 常設展示室併設展示
■観覧料:3階 企画展示室(無料)・ 1階 常設展示室併設展示(常設展観覧料が必要)
■主 催:バード加代子