『金城次郎とヤチムン』(松井健 著) 刊行記念 壺屋時代の金城次郎 展
沖縄初の人間国宝・金城次郎の没後12年がたちました。金城次郎といえば魚文という評価がありますが、
壺屋時代(1972年の読谷村への窯の移転の前)にこそ次郎さんのヤチムンの多様さ美しさの到達点を見
ることができると思います。戦後独立して工房を構えてから復帰までの時代、習熟した壺屋の技を駆使し、
作陶のための伝統の要点を頑固に守りながら、自然で作為を感じさせない、それでいて見紛うことなく次郎
さんでしかない美しい品物が淡々と生み出されたのでした。このように思い、壺屋時代の次郎さんの作品を
改めて展観し、そのすばらしさを再認識し、沖縄陶器の愛好者から実作者まで、広く次郎さんの真価がどこ
にあるかを考えただこうと本展を企画しました。実用的な小品を中心とする展覧会でありますが、それゆえ
にえってわたしたち主催者の意図をよく理解していただけると期待しております。