那覇市立幼稚園2年保育モデル事業評価委員会
近年、少子化、核家族化、都市化、情報化等のめまぐるしい社会状況の変化は、幼児の生活にも大きな影響を与え、それに伴い市民の保育ニーズも多様化し、時代の変化に的確に対応した幼稚園教育の在り方が強く求められている。
文部科学省においては、平成十三年三月「幼児教育振興プログラム」を策定し、その基本的な考え方として、入園を希望するすべての満三歳児から五歳児の幼稚園への就園を目標に施策の展開を図ることとしている。
また、沖縄県教育委員会においては、平成十五年三月に「沖縄県幼児教育振興プログラム」を策定し、満三歳児からの就園について、平成十九年度を目途に促進するよう各市町村へ通知している。
本市においても、「就学前教育として二年間の保育期間保障への期待」や「保育に欠けない在宅の四歳児の就園希望」等のニーズから、幼稚園での2年保育の実施に対する保護者、市民からの要望や問い合わせ等が数多く寄せられている。
そのような状況を踏まえ、那覇市教育委員会では、幼児一人一人の望ましい発達の機会を支援する幼稚園教育の充実をめざし、平成十四年度から城北幼稚園、開南幼稚園及び宇栄原幼稚園の三園において4歳児学級を設置し、「那覇市立幼稚園2年保育モデル事業」がスタートした。
さらに、平成十五年度には城西幼稚園、真和志幼稚園及び高良幼稚園の三園を加え、計六園で2年保育に取り組んでいる。その中では四歳児クラスの定数や就学前教育としての2年保育のあり方について等、検証すべき課題も多い。
このようなことから那覇市立幼稚園2年保育モデル事業について、よりよい保育環境を整備し、充実した事業の実施を図るため、平成十五年十一月七日に那覇市立幼稚園2年保育モデル事業評価委員会(以下「評価委員会」。)に対して当該モデル事業の評価について諮問した。
評価委員会では約一年間に六回にわたる実施園視察や実施園からの報告資料の検討及び協議を重ね、平成十六年十一月に答申した。
評価委員会の設置
評価委員会の設置に際しては、委員として、次に掲げる者のうちから教育委員会が委嘱した。
(1) 学識経験者
(2) 幼児教育の経験を有する者
(3) 関係機関の職員
(4) PTA関係者
(5) その他教育委員会が必要と認める者
平成十五年十一月七日、辞令交付ののち第一回の会議を開催。委員長に沖縄女子短期大学教授の比嘉清永氏を選任し那覇市教育委員会から諮問した。
諮問事項は次のとおりである。
【諮問事項】
那覇市立幼稚園2年保育モデル事業に関する次に掲げる事項の評価について
一 就学前教育としての2年保育の効果に関すること
二 子育て支援推進としての効果に関すること
三 複数年保育の推進に関すること
四 その他2年保育に関する必要な事項
(4・5歳合同のお弁当会) |
答申の概要
一 幼稚園における2年保育の効果と課題について
(1) 二年間の幼稚園教育による基本的生活習慣の着実な定着
(2) 二年間の幼稚園教育の異年齢交流による教育的効果
(3) 二年間の幼稚園教育による幼児・保護者・幼稚園教諭三者の信頼関係の深まり
(4) 「二年間の見通しをもった教育課程の編成」や「預かり保育とのかかわり」等
二 那覇市立幼稚園2年保育モデル事業に関する評価について
(1) 就学前教育としての2年保育の効果に関すること
| @ |
2年保育は、幼稚園と小学校の連携を図る上でその効果は大きい。 |
| A |
どの園でも異年齢交流が、二年間を見通して計画的・継続的に無理なく行われている。 |
(2) 子育て支援推進としての効果に関すること
| @ |
2年保育の実施により、保護者の子育ての意識を高めることができ、育児不安の解消につながっている。 |
| A |
2年保育は、保護者間の連携にも役立っている。 |
| B |
2年保育では、子育てを通して親が互いに育ち合う環境がある。 |
| C |
2年保育は結束の強いPTA活動推進する。 |
| D |
2年保育と平行して、預かり保育の実施も必要である。 |
(3) 複数年保育の推進に関すること
| @ |
在宅の保育に欠けない4歳児をもつ保護者にとって、遊び友だちが近所に少ない現状では集団生活に慣れさせたいという願いは切実である。 |
| A |
複数年保育の推進による異年齢での交流は、自由遊びの時間などに自然発生的にみられたが、実施園では四歳児と五歳児クラスで合同の活動を組むなどしても
っと積極的に取り組んでもよいのではないか。 |
| B |
複数年保育を推進してい くためには、実施にむけての条件整備(人的配置、建物の整備等)、保育所及び他機関並びに地域との連携を密にすることも大切である。 |
| C |
2年保育を推進することは、子育てに対する保護者の不安を取り除くのに有効である。 |
| D |
3年保育が普及している他県と比べて、幼児期の段階で教育環境に格差が大きいことが憂慮される。 |
(4) その他2年保育に関する必要な事項
| @ |
四歳児の学級定数については、一クラス二十五名程度が妥当だと考える。 |
| A |
通学区域について、校区外の希望者も多いができる限り対応してほしい。 |
| B |
特別な支援を要する子どもの就園については、当該児と他の幼児双方によい影響があり、共に支え合う仲間としての気持ちが育っている。 |
| C |
幼稚園、保育園、総合施設等の連携が今後必要である。 |
三 本市2年保育の在り方について
(1) 当面の方針
全園で2年保育を計画的に実施できるようめざすことが必要である。ただし、拡充するためには必要な空き教室の保有状況、実施するための必要な環境整備、人員確保に伴う予算、関係機関との調整などを含め、調査研究を継続して進めることが必要がある。
また、2年保育の充実のためには保護者や地域の方々等の積極的なボランティア活用を検討する必要がある。

(保護者ボランティアの活動の様子) |
(2) 中・長期の方針
今後、公立幼稚園においても三歳児に門戸を開放するこ とが望まれる。そのためには、設置地域については私立幼稚園との協議が必要になることはもちろんである。また、空き教室や実施のために必要な環境整備、人的配置に伴う予算の確保について、これまで以上に検討する必要がある。
(3) 今後の方向性
今後、2年保育を推進する中で、総合施設を含む幼保一元化についても検討しなければならない大きな課題となる。幼保一元化においては、教育施設としての幼稚園と福祉施設としての保育所がそれぞれの特性と役割を発揮し連携協力して、発達段階を踏まえた保育を計画的・継続的に行うことが求められる。
また、新たな課題として公立幼稚園の民間委託の問題が社会情勢としてある。このことについては、今後、国や県 の動向を踏まえながら、学校教育関連法令等の検討や幼稚園教育に対する本市の基本方針とのかかわり等を課題事項として調査研究していくことが必要であろう。
那覇市教育委員会として、今回の答申を踏まえ、2年保育を含む幼稚園教育のさらなる充実、発展をめざし取り組んでいきたい。
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